趣味の投資とプログラミング備忘録

趣味の投資と独学の「R言語」によるプログラミングを混ぜて、なぜ投資が必要なのか、メモがてら書いていきたいと思います。投資もプログラミングも初心者という方の勉強の一助となれば幸いです。

SPYで月間積立投資vs年間一括投資シミュレーション最終結果から平均に有意差があるのか検定してみた!

結論

40年間のシミュレーションにおいては、平均リターン、平均リスクが変わらないという条件で毎月積立よりも、毎年一括での積立の方が優れているといえます。

 

理論通りですね。

 

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導入

いつも気にはなっていたのですが、

毎月一定額をいわゆるドルコスト平均法を使って積み立てた場合と、

毎年年初に一括どんと積み立てた場合、どちらが、よりよい結果を得るのでしょうか?

 

理論的に考えたらそりゃ一括だよなとは思います。

何と言っても投資期間の最大化ができるのですから。

むしろ、数年分の投資額を一括でいれたほうが最終結果が良いことは右肩上がりの株価であるなら当然です。

 

でも検証してなかったので、実際に検証してみたいなと思いました。

 

検証方法

今回はシミュレーションのパラメータは以下になります。

年間平均リターン:8.481591%
年間標準偏差:14.5878%
月間平均リターン:0.6807257%
月間標準偏差:4.211135%
サンプルサイズ:1571
検証期間:40年
 

以上の条件で検証を行います。

 

グループA:毎月月初に3.33333万円投資し、40年後の投資成績を1571回シミュレーションする。

 

グループB:毎年月初に3.3333×12(39.9996)万円投資し、40年後の投資成績を1571回シミュレーションする。

 

両グループともに投資累計額は1599.984(約1600万円)。

 

グループAとBの40年後の分布を、対数化してwelch-t検定を行う。

(今回は最終成績は対数正規分布していると考え、対数化して正規分布と仮定、パラメトリックではあるが、分散が等しくないと想定しwelch-t検定を行う)

 

シミュレーション回数が1571なのは、検出力等から逆算してあります。

power.t.test(power=0.8,delta=0.1)、検出力80%、小さい差を求めるために0.1としておきました。

 

なお、シミュレーションに用いるためそもそも正規分布しているという前提や年間リターンやリスクについては前回検証しております。以下、作成記事。

syumino.hatenablog.com

 

シミュレーション結果の頑健性?までは確認してませんが、バックテストは一応してあります。当てはまりについては、以下の記事を確認してみてくださいませ。

syumino.hatenablog.com

 

区間を求めるべきとのご意見もあるかもしれませんが、各グループの棒グラフを作成し、エラーバーをつけたりはしません。

毎月投資と毎年投資では相関性があまりに強すぎるだろうと考えられますので、ほとんどエラーバーは重なるはずです。

 

結果

Fig.1 

f:id:HanamoriH:20210926233801p:plain

Fig.1の説明

赤:毎月積立、青:毎年積立、黒:投資額累計、

同色の3つの線:それぞれ下から順に10パーセンタイル値、中央値、平均値

 

 

Fig.2 40年後の1571回分シミュレーション結果の要約

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Fig.2の説明

grpA:毎月積立

grpB:毎年積立

grpLogA:毎月積立(対数化)

grpLogB:毎年積立(対数化)

Min:最小値

1st Qu:25パーセンタイル値

Median:中央値

Mean:平均値

3rd Qu:75パーセンタイル値

Max:最大値

 

 

 

Fig.3 40年後の1571回シミュレーション結果の対数化した分布図

f:id:HanamoriH:20210926234558p:plain

40年後の1571回シミュレーション結果の分布図

f:id:HanamoriH:20210927001925p:plain

Fig.3の説明

上図は対数化、下図は通常スケール

ビン(breaks数は平方根法を使用 sqrt(1571))

赤:グループAの毎月投資

青:グループの毎年投資

紫:グループAとBが重なった部分

 

Fig.4 Welch-t検定結果

f:id:HanamoriH:20210926235316p:plain

p値は0.001396 と有意水準5%を下回っているため、差がないとは言えない。

また、信頼区間も0をまたいではいない。

有意差あり、と判定する。

 

考察

Fig.1より、時間経過とともに、赤線、青線が離れていくのがわかる。ほぼ同じ動きではあるものの、時間と共にその差は大きくなると考えられる。

ただ、時間と共にとは言うものの、40年より先については現役働いているのかというと、ほとんどの人には当てはまらないと信じたい。

(期間40年以降も毎年一括で投資できる人がどれだけいるのか?という疑問はあるので、一般的じゃないのでやる必要はないかなと思います)

視覚的に経時的変化からは、有意差は出ても良いだろうなと考えられます。

 

Fig.2について、今回論点となっているのは、平均の差、これに統計学的差があるのか、ということです。検定にて行っているのは対数化したグループAとBに差があるか、ということです。

Aの平均値9.155495 とBの平均値9.232325

その絶対値は0.07683。

・・・これに差があるのか、小数点以下、だと人間の感覚だと正直さがあるとは思いにくいのですが、

これを元のスケールで見るなら、

Aの平均値は11999.637050 万円、Bの平均値は12802.583479万円

差の絶対値は802.9464万円。

これは差があってしかるべきでは?という感じです。

 

Fig.3については、見にくいですが、多くは重なってはいますが、平均値は互いに少しずれているような気がします。対数化してからも正規分布もしてそうですね。分散も、それなりに近い数値になっていそうな気がします。

 

Fig.4 Welch-t検定結果は有意差あり、です。

 

蛇足ですが、そもそもパラメトリックではないのでは?ということも言われそうなので、元のスケールにてMann–Whitney U 検定もしておきました。

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有意水準5%で帰無仮説は棄却されています。

 

 t 検定が最も威力を発揮する状況は「2群の分布が共に正規分布に近い」「分散がほぼ等しく分布の違いが中心位置の違いに帰着できる」という状況だそうですが、外れ値があるようなデータには弱いため、そのような場合は外れ値に強い(ロバストな)検定であるMann–Whitney U 検定を用いるのが良いとされています。

 

今回の場合はどちらでやってもよさそうでしたが、どちらでも結果は同じでしたね。

 

 

ということで、視覚的、数値的、統計学的、いろいろ見ましたが、結果は『差があるだろう』ということでしょう。

絶対とは言いません。

 

そもそも、40年間もずっと、平均リターンやリスクが今回の検証通りとはいかないと考えられるためです。

たとえ、以前の40年間が偶然に平均リターンやリスクが同じであったとしても、その後の10年、20年、30年、40年と同じである保証はありません。

とはいえ、今後数年はシミュレーションによる区間推定は投資判断の材料になるのではないかと思います。

 

 

ちなみに、簡易的に、1年後、5年後、10年後など、試してますが、全部有意差出てました。視覚的にも数値的にも差が確認でき、統計学的にも有意差がありました。

すべて一括の方が優れています。

 

今回は、為替のことは考慮しておりませんが、40年後に1億円位になっているのなら、取得単価が1ドル200円だったとして、引き出すときに50円くらいにまで下がってても平均成績において、利益が出ている計算です。

 

税金についてはちょっと40年後のことはわからんのですが、もしかして、米国で狩っていた場合には投資成績は良くても、激しく円高になっていたら、円転時にマイナスになる可能性もあるかもしれませんね。

買うなら国内投資信託でやっていた方が、その危険性は踏まなくて済むかもしれません。

 

ただ、思うのは、一括が良いとわかったところで、暴落来た時のメンタル的なところを考えると、毎月のドルコスト平均ですね。

年初に入れて、即暴落されてその年中に戻らなかったら含み損で年末を迎えるということになりますので。。。

私も来年からはNISA枠は一括かな?

 

でも金銭面で、年初に一括ていうのは何となくキツイ?

 

まあ、・・・やるとしたら、お金を貯めて、さらには投資メンタル鍛えてからですが (笑)

 

 

以上